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Dialogue Session #01 · 2026.04.14

2部構成の対話本がついに完成!

思いがことばになり、文字になり、絵が生まれた。さあ、対話からはじめよう

書籍・制作チームが語る、本の舞台裏

著者中村一浩(かず)

編集長沼敬憲(まこりん)

イラスト山下健介(ケンスケ)

3年の歳月をかけ、2冊の対話の本が完成した。対話の研究者・実践者として、みずからが体感してきた対話のノウハウ、世界観を言葉にするかず(著者)、言葉からコアを取り出し、文字に変えるまこりん(編集)、文字をイメージに変えるケンスケ(イラスト)。

三者がそれぞれ異なる役割を担い、対話しながらつくり続けることで、2枚組アルバムのような本が生まれた。いまその制作チームが改めて集い、制作プロセスを振り返り、本に託した世界を分かち合う。

対話からはじめよう 第一部・第二部
かず

かず

著者

まこりん

まこりん

編集

ケンスケ

ケンスケ

イラスト

話していくなかで紡がれて、見つかって、形になって

まこりん

長い時間をかけて、ようやく2冊の本が出来上がったね。今日は制作チームでこれまでを振り返りつつ、いまの気持ちを声にしていきたいと思っています。

かず

そうね。まずチェックインから始めようか?

まこりん

確かに。

かず

では、自分からチェックインすると、先週話をして今日の時間が決まって、いまこの場があって……、本のプロモーションっていう側面もあると思うけど、それよりいまは3人で分かち合いたいっていう気持ちのほうが強いかな。

 そこからまた何かが生まれたり、見えてきたりすることがありそうな気がしています。よろしくお願いします。

ケンスケ

じゃあ、チェックインします。自分は途中から制作に入らせてもらったのですが、最初入った時はどんな感じだったか? 忘れているところもあって。

 だから、何かをちゃんと話すというより、この場で出てきたものにレスポンスしていったら、また何か出てくるんだろうなと。そんな感じで話せたらと思っています。

まこりん

二人の話を聞きながら、制作している時の場面がいろいろ浮かんだんだけど、ライブで話しながらその場で(本の内容が)構築されていく感じがあって……。

 それはかずの特性というか、感覚を言語に変えていく力が強かったからだと思うんだけど、そうやって対話型制作を一緒にやってきて、そこにケンスケが加わって……。

 これからその続きをどうやってつくっていくか? 今日話せたらいいかなと思っています。

かず

そう考えると、決まった内容を話すというより、話していくなかで紡がれて、何か見つかって、形になって……。

対話的制作って、「ホールドはするけれど、自由でいい」

まこりん

それは本の制作もおなじで、(本のベースは)かずの内面にあったもの、経験してきたことだったわけだけど、細かくプロットが決まっていたわけではないから、対話しながら少しずつ言語化されていったんだよね?

 言語化されたものが文字に落とされて、そこに絵が加わって、なによりその過程が楽しかった。ケンスケは途中から入ってくれたけれど、どうだった?

ケンスケ

途中から参加した感じはなくて……。多分、かずとは違う活動で毎週話していることあったから、別物ではあるけれど、かず自身の背景にあるものは共通するものがあるんだなと、文章を読んで感じたんですね。

 だから、「途中から入って、どうしたらいいんだろう?」みたいな思いはまったくなく。自分はいつもイラストを描いている人間ではないので、「今回はたまたまこういう役割として関わるんだな」っていう感じだった。

かず

(ケンスケは)状況を話さなくてもわかってもらえている感じがあったし、自分が言葉にしきれないことを絵で表現してくれる、そこに対する信頼があったかな。

まこりん

一般的なセオリーからすると異色な本ではあるので、一緒につくるメンバーに受け取ってもらえている感じがないとやりづらいなっていうのはある。

 かずの提案でケンスケに参加してもらうことになって、やっていけそうって思ったのを覚えているな。

ケンスケ

以前、かずの『ことばの焚火』という共著書の制作プロセスを見せてもらっていたので、「こういう感じだな」っていうものが自分の中にセットされていて。

 一般的なやり方を知らないっていうのもあるけど、対話的に関わっていくと中身も入れ替わっていく……、そのプロセスは自然なものだなって感じていたのね。

 ただ、それを絵にする時の難しさとしては、絵の登場する場面にはそこまでの文脈があって、どうやると読み手が受け取りやすい塩梅になるのか? 感じながらやっていたな。

まこりん

そもそもの話をすると、最初に「こうしなきゃ」っていう前提を設けていなかったんだよね。

 だから、「ホールドはするけれど自由でいい」っていうことが対話的な制作にハマった感じがあって。ケンスケがそれを受け取ってくれている感じもあったからやりやすかった。

 長丁場だったんで、そこがぶれちゃうとなかなかまとまらない。最終的に形になってよかったなと(笑)。

「言葉では言い表せないけど、反映できると編集は変わる」

ケンスケ

もう一個重ねちゃうと、第1部はスキルだったり、具体的な言葉だったり、関わり方みたいなことを扱っているじゃないですか。だから、読む人も比較的イメージしやすかったり、考えやすかったりすると思うんですよね。

 一方で第2部は、見えにくい部分、背景の考え方や何が起きているかっていうこと、(対話を)やる側がどう見るかという話じゃないですか。前半で行動とか振る舞いのところが出ちゃっているなかで、こっち側をどう扱う?みたいな。

 第2部から読む人もいるだろうし。絵を描く以上に「文章だといろいろ考えたんだろうなあ」って読んだときに感じていて、そこは二人に聞いてみたいな。

まこりん

かず、そのあたりはどうなのかな?

かず

多分、いちばん苦労したのはまこりん。どう編集するか、見せるかというところを悩んだんだろうなあって。「場のリーダーシップ」という概念が出てきたところで(本として)ハマったという話をまこりんがしたのをよく覚えている。

 それに自分の感覚で言うと、表現って絵を描くことでも、声を出すことにしろ、身体性を伴うものだと思っているのね。すべて身体を通してやっているから。第2部では、その考え方や概念みたいなことを、どこまで頭ではなく身体で理解できるか、ということがすごく大事だった。

 だから、ケンスケの絵を見て、そこにズレがなくて、体感的にわかってくれているなっていう安心感があった。イラストを見た時の「そうそう、そういう感じ」っていう感覚。これって伝えるのがすごく難しいよね?

まこりん

そう、理屈じゃないところがあるから。

かず

いま、ウェルビーイング学部で動画をつくっているのだけど、その動画の質感というところでも同じことが起こっていて、「ちょっと明るすぎるんだよね」とか「強すぎるよね」みたいな、その「ちょっと」がすごく大事。

 これって言葉では伝えきれないっていうか、一緒にいて過ごすなかで感じるものだよね。「ああ、この感じですね」「そうそうその感じ」「え、どの感じ?」みたいに、お互いに言葉では言い表せないんだけど、反映できると編集は変わる。この本の編集っていう側面でいうと、まこりんがそれをしてくれた。

 いろんな要素があって、まさにカオス。でも、それを1部、2部という形に構成する、どういう順番で伝えるか、どこをキーメッセージにするか、ということを感じて表現してくれていて。ケンスケもそうだけど、そういう場面とどう関わって、どう表現してくれたのか、関心あるんだよな。

まこりん

そうね。「どうしても1冊では収まらないな」っていうのが最初の段階で出てきたことが一つ。一般的な商業出版の作法だと、第1部だけでも十分。でも、それではかずの対話は描ききれないっていうのも見えていたので、2枚組のアルバムみたいな概念が最初からあったんだよね。

 僕からすると、それを「やろう!」って決断してくれたかずの思いが、根本にあるなと思っていて。

 あとは第1部が実践編なんだけど、それもハウツーという言葉で収まらないところがあったというか……。あとに続く第2部も含めて、「本当に役立つとはどういうことなのか?」ということを、つねに考えていた気がする。

「本当に役立つとは?」って、つねに考えていた

かず

役立つね……。

まこりん

そう、本当の意味で。たとえば、話す、聞くだけじゃなくて、信頼する。(1部の実践編に)こういうステップを入れたりするあたりが僕の中で本当に役に立って……。

 編集者って、最初の実践者でもあるはずなので、制作と実践、そういうところの重なりが、僕のなかで著者であるかずへの信頼につながっていったというか。

 いちばん最初に対話を7回重ねて、プロットはつくれたんだけど、大事なのはそこからの積み重ねで。1部がまとまって、出版して、そこから第2部に入っていって、どうなるか見えてこないところも共有しつつ、最後の最後で「場のリーダーシップ」という概念が立ち上がってきたという。

 僕のなかでは、「場のリーダーシップって、そもそも信頼を醸成する場なのかな」っていう理解があって、再び1部にループしていくような感じがあったんだよね。

かず

なるほど。

ケンスケ

まこりんがそこを担ってくれていたので、すごく楽だったんだなって、いま聞いてて思ったかな。

 自分の場合、過去の仕事でも、論理的に編集するところと感覚的に受け取ってそのまま表現するところを1人でやらなきゃいけないっていうことが結構あって。今回は、完全に得意なほうに振れていたから楽だったんだなって。

 第1部と第2部って、分かれているけどつながっているじゃないですか。そこの接続もそうだし、見えない部分をどう組み立てるか? そこの情報量がめちゃくちゃ多いはずなんで、そこに(エネルギーを)全部使い切っちゃうと、イメージのところまでいけなかったんじゃないかな。

 まこりんが広大な海のなかにあるものを全部取り出して、形にするっていうところを担ってくれたからこそ、自分もスッと入れたし、身体の感覚に寄せられた

 思考がもっと入っていたら、もしかしたらああいう感じにはならなかったかもしれないなって。

 感じるところは体感で、アウトプットするところはもちろん両方混ざるんだけど、すごくいい形でのやり方だったなって、いま聞きながらあらためて思いました。

「言葉から文字へ、対話の先に編集がある」

まこりん

それでいうと、かずは対話だから言葉の人なんだけど、僕は言葉より文字なんだよね。編集は取材的なものがあるから言葉も含むんだけど、それより文字という要素が強くて、組み立てのプロセスが若干違う。

 僕は言葉のほうはあまり強くないというか、そんなに取材が上手いわけではないと思っていて。一方、かずは感覚の言語化にすごく秀でている人だなって、常々感じていて。

 ただ、その後の文字にするところは工程が違うから、整理するということも含めて担ってきた感じかな。

かず

面白い。

ケンスケ

いまの文字というのは書き言葉で、言葉というのは話し言葉という理解で合っている?

まこりん

ざっくり言うとそうかも。そこに連続性があって、対話の先に編集がある。かずが対話塾をやっていた延長で、僕が編集塾をやるようになったのもそうだけど。

 この関係性が自分のなかでもすごく響いて、個人的には、あまり得意ではない対話の部分がすごくクリアになった。簡単に言えば、取材して人の話をどう聞けばいいか? 経験的にやってきたことが可視化され、分かち合えた。この本が編集者である僕自身に、すごく役立ったんだよね(笑)。

ケンスケ

関わっている人が、じつは一番おいしいよね。自分も絵を描くことで、自分のなかでの整理が進むという側面があって。だから、仕事させてもらっているんだけれど、それ以上の恩恵がすごく大きいなって思っていた。

まこりん

本当にそう。対話が概念としてとらえられ、実践につながっていくなかで、自分のやってることのコアになるようなものが提供してもらえた気がするな。

 だからこそ、本がいろいろな人に伝わってほしいなっていう願いにもつながっていくわけだけど。

かず

そういう恩恵って、どういうものなのかな? いまの話だと、感じたものを言葉にするのは自分で、言葉を文字にするのがまこりん、言葉とか文字を絵にするのがケンスケだったわけじゃない? それぞれのパートでの恩恵もあるだろうし、そうじゃない恩恵もあるかもしれないよね。

まこりん

感覚を言語化するっていうところに、多くの人はもやもやする。それをクリアにするのが本の役割でもあり、自分の仕事かなっていう思っていて。

 ただ、それって上手に整理すればいいわけでもなく、そこにはギャップがあって、AIとかで要約すればスッキリするかっていうとそうでもなかったりする。

 そのギャップを埋めて、身体性を伴った感覚をちゃんと共有できる状態にする……、それを日常のコミュニケーションでできたらいいなという願いがあって、それが叶ったというか。ちょっと答えになっているかわからないけど。

かず

ありがとう。

絵を描くことで「自分がとらえている世界ってこうなんだ」とわかった

ケンスケ

自分の場合、別に事細かく「こういう絵を描いて」って言われてないじゃない? かずの言っていることをまこりんが編集した文字から汲み取るわけだけど、そのイメージって結局自分の中に湧いてきたものなんだよね。

 そう考えると、自分が社会とか状況をどうとらえているのかっていうイメージを、じつは出している。それが最初にあって、「じゃあ、それを見る人はどう受け取るだろう?」「受け取りやすくするためには何が必要かな?」っていう順番だった。

 つまり、(絵を描くことを通して)「自分がとらえている世界ってこうなんだ」ということがまずわかったっていうのが、恩恵受けていたと思ったことの1つめ。

 もう1つは、絵になるとちょっと自分から離れるじゃないですか。二人が形にしたものをあらわすという前提があるのだけど、それを眺めてみたときに、自分はこうは見ないなとか、こう見るなってもう1回検証ができる。

 とらえ方で一致している部分と、一致してない部分っていうのが分かるし、「じゃあ、なんで一致してないのか?」考えることで、背景の違いに気がついたり。

 たとえば、かずは森的にものごとをとらえるので、境界が明確に仕切られているというより、グラデーションのように広がっていて、あわいでとらえる感じだなって。自分はちゃんと境界を引いてみて、そこで外との出し入れを発生させる余地が必要、というようなとらえ方を結構していて。

かず

面白い。

ケンスケ

相手とのやりとりを取引的な感じにしちゃったとき、相手にこういうインパクトを与えているんだなとか。あわいの感覚で出会えたときはこういう状態なんだなとか、自分のなかの強弱を確かめながら見ることができた。

 なので、描いた絵を1回手放して渡してみたとき、後で本になってもう1回読んでみたとき、ちょっとずつ違う感覚があったなって。そう思えば、三度、美味しかったですね(笑)。

まこりん

かず自身は何か得たものはあった?

かず

いま話を聞きながら思ったのが、自分の仕事の仕方として、恩恵ということを普段から意図しているなって。

 企業との打ち合わせっても、それを通してその人が何か気づいていくことを意図しているし、実際そうなっていく。人と仕事をするとわかりやすく得られるものがありつつ、その一方で、予期せぬことが起こったりする。お金じゃない対価として、それを自分はすごく意識しているんだなあって。

 関わり合うなかでの気づきや変化は、やっぱり自分にとっても嬉しいし、楽しいし、それが仕事の意味、価値の一つだなっていう感じもしているかな。

まこりん

対話って、まさにそこに関わってるよね。

かず

本について言えば、自分にとっての恩恵は、まこりんがさっき言ったように、言葉が文字になって、文字が絵になって、そのことを見させてもらっているってこと。

 まこりんはそう言うんだ、ケンスケはそう表現するんだ、とか。ここちょっと違うんだよなって思った時、自分のなかではここが大事なんだよなって改めて思うし。

 いちいち気づきがあるというか、ほお〜と思ってしまう自分がいて、それはもう恩恵どころじゃなく、つねに自分を更新してもらっている感じがあるな。

 今日も記事をつくろうっていう仕事といえば仕事なんだけど、でも、3人が全然そこに留まる感じがないじゃん(笑)。そこに何か豊かさを感じるね。

「体感的な部分で言葉と文字をつないでいく、その狭間にいるんだな」

まこりん

つくり手どうし、そういうところでいい関係を築けたなっていう気がしているかな。

 それは、かずが手放してくれていたというか、自分の世界をぎゅっと握っていない感じがいちばんの要因だと思っていて、それが3人の相互作用を生み出したのかなって。

 握りが強いとつくりづらい感じが出やすいんだけど、かずは自分が変わっていくことを前提にしてくれているから。実際、長丁場の中で、かず自身も相当変わったんじゃないかな? それが本の内容にも反映されているし、つくりながら変容していくということを表現できたと思う。

かず

そろそろ時間かな。軽くチェックアウトしますか。

まこりん

おお、あっという間だね。

かず

じゃあ、チェックアウトすると、ほんと話ができてやっぱりよかったなって思ったし、感覚とか意味、価値の言語化ってそう簡単にいかない……、自分はそういう体感的な部分で文字と言葉をつないでいく、その狭間にいるんだなと。それがわかってよかったな、っていうのが大きいかな。

 この話がどう記事になるのか、それ自体も楽しみです。ありがとうございました。

ケンスケ

チェックアウトします。最近、受け取ってどう感じたかっていうことのニュアンスを、あえて細かく表現しようとするようにしていて……。

 以前はそっちにずっと振ってやっていたんだけど、一時期からそういうことじゃなくて、やっぱり話すなかで感じるところがあるから、あまり説明しすぎないようにしようと思うようになって。でも、たくさんの人と会っていくなかで、あらためてちゃんと言葉にすることの大事さを感じているというか。

 ただそれも一言一句正しく説明するっていうことより、どう感じているかを出したほうがすごく伝わりやすいなと思う、そういう感覚が蘇ってくるような時間だったなと。

 より届く言葉とか文字って何なんだろうなって考える、そんな時間になりました。ありがとうございました。

まこりん

ありがとうございます。僕も気持ちが呼び覚まされたというか、こういう対話は久しぶりってわけじゃないけど、ちょっとエンドレスになりそうなぐらいの感じがあったので、また続きをやってみたいかな。

 話せば話すほど気づきも増えるので、これをどういうふうに伝えるものの材料にしていけばいいんだろうって。そういう悩みも生まれた感じがあります(笑)。

 対話の本だから、対話的にやっぱり広めていきたいという願いもよく受け止めて、自分の実践としても、この先の景色を描いていきたいなって。どういう感じになるか分からないのを内包しながらやるのがいいのかもしれない。いったん形にしてみるので、二人にも読んでもらって、次の展開がまた生まれたらいいな。どうもありがとうございました。

かず

また会いましょうね。

みなさん

ありがとうございました。

編集協力:山川麻美

中村一浩(かず)— 対話の研究者・実践者。『対話からはじめよう』(第1部・第2部)著者。

山下健介(ケンスケ)— 絵も描けるコーチ・コンサルタント。本書(第2部)イラストを担当。

長沼敬憲(まこりん)— 編集者。本書(第1部・第2部)の編集担当。

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